感情の科学でひらく、戦略人事の未来へ
――HRD NeXT 2026 開催レポート
2026年1月30日、東京・虎ノ門ヒルズフォーラムにて、HRD株式会社主催のカンファレンス「HRD NeXT 2026」が開催されました。2019年以降、6年ぶりの対面開催です。
テーマは「感情の科学でひらく戦略人事の未来」。
冒頭では、「答えをお渡しする場ではなく、問いを持ち帰っていただく場にしたい」とのメッセージとともに、イベントがスタートしました。
登壇者のご紹介

韮原 祐介 Nirahara Yusuke
HRD株式会社 代表取締役
1983年、千葉県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、アクセンチュアに新卒で入社。戦略策定、組織・人事改革、システム改革などに従事する。2012年~14年にかけてシンガポールに駐在し、ASEAN地域における日本企業の海外進出支援、組織・人事改革などを手掛けた。2015年ブレインパッドの経営企画部長に就任し、中期経営計画の立案と実行を主導するかたわら、同社過去最大の大型案件を責任者として実行。同社の経常利益12倍、時価総額20倍超の達成に貢献。専門領域は、組織・人事改革、機械学習などのデータサイエンスやデジタルテクノロジーの活用による経営改善、サイバー防衛戦略。東京大学非常勤講師、東進デジタルユニバーシティ講師などを歴任。一般社団法人情報処理学会情報規格調査会SC7/WG29小委員会アジャイルとDevOps(デブオプス)委員。2022年から現職。著書に『サイバー攻撃への抗体獲得法』『いちばんやさしい機械学習プロジェクトの教本』がある。
HRD NeXTとは何か


HRD NeXTの前身は、HRD株式会社が創業翌年の1994年から毎年続けてきた「事例研究会」です。2026年で33年目を迎えます。「NeXT」という名称には、「次に何が起きるのか」を考える場でありたいという意思と、テクノロジーの革新への敬意が込められています。
代表取締役の韮原祐介はこう述べました。
「人材・組織関連業界の未来の指針となる提言や事例の共有を行う場。次に何が起きるのかを、皆さんと一緒に考えたい」。
なぜ今、「感情の科学」なのか


韮原は開会にあたり、HRDがこの世の中をどう見ているか、これから何をしていくかを率直に語りました。
その核心は「4年前から指摘してきたことが、現実になった」という認識です。HRDはHRD NeXT 2021-2022から、経営外部環境を変える3つのドライバー:①国際情勢、②政府規制、③破壊的新技術を提唱してきました。生成AIの台頭、地政学リスクの顕在化、保護貿易への回帰は、すでに組織を取り巻く現実となりました。
この変化は、経営人事の現場に3つの課題をもたらしています。
・不確実性の高まり(変化・不安が増す環境では、組織への帰属意識が生産性と定着率を左右する)
・AI・デジタル化の進展(効率化が進むほど、協働・判断・コミュニケーションといった人にしかできない価値が高まる)
・パーソナライズ化された施策の必要性(個人特性の把握とデータに基づく施策設計が、次世代HRの標準になる)
「社員も、コンサル先の社員さんも、『台湾有事になるの? インフレがもっと進むの? うちの会社は大丈夫なの?』と思いながら働いている時代になってきている」と韮原は言います。こうした不確実性・不安定性への不安をどう組織としてマネジメントするか——これが、人事に新たに加わる仕事だと。
不安を抱えた状態では、人は合理的には動きません。そして、データや制度だけでも、人は動かない。
一人ひとりの感情に向き合い、「分かってくれている」という安心感により、組織への信頼感と帰属意識を高めていくことが肝要となる――「感情の科学」というテーマは、この時代認識から導かれています。


HRDの思想:「心を測り、心を動かす」
HRDでは、過去のHRD NeXTにおいても「デジタル社会(AI・データ活用)から、ヒトの個性と感情を中心に置く:ココロ中心社会へ」という方向性を一貫して提唱してきました。
業務の効率化や自動化が進む一方で、現場では「人が何を感じているのかが見えない」「関係性が機能しない」といった課題が顕在化しています。
こうした状況において、成果を左右するのはデータや制度だけではなく、「感情」そのものです。
HRDはこの変化を「時代転換」と捉え、その橋渡しを担う存在でありたいと位置づけています。スローガンは「心を測り、心を動かす。」——感情を科学的に捉え、人と組織の変化を生み出すという思想を、一言に込めています。
その思想を具体化するものとして、今回発表されたのがEverything DiSC® カタリスト(以下、カタリスト)です。
カタリストは、日本・世界で30年以上活用されてきたDiSC®の信頼を基盤にしながら、個人の理解にとどまらず、日常の対話や関係性の中で活用され続けることを前提に設計されたプラットフォームです。
韮原は「新しい技術でまったく新しい価値を創造するだけでなく、信頼できる既存の技術を時代に合わせて進化させることも、これからより重要になる」と述べ、DiSC®とカタリストの関係をその実践として位置づけました。
ProfileXT®、CheckPoint 360°™についても同様に、時代に合わせた進化を続けていく方針が示されました。
HRDが変わらず続けると皆様にお約束したのは、世界最高品質のソリューションの提供、資格者・パートナーネットワークの継続的な強化、そして知見の共有とコミュニティの進化です。


当日のプログラム構成
当日は7つのセッションで構成され、カタリストの初公開をはじめ、導入企業の実践事例、ProfileXT®やCheckPoint 360°™を活用した人材戦略、組織変革の取り組み、戦略人事や地政学の視点まで、多角的なテーマが扱われました。
各セッションの詳細は、個別レポートで紹介しています。
【HRD NeXT 2026 講演レポート】※順次公開中
SESSION01:初公開!Everything DiSC® カタリストの全貌
SESSION02:組織はこう変わる―Everything DiSC® カタリスト先行導入企業の実践知
SESSION03:ProfileXT®とCheckPoint 360°™が拓く次の人材戦略
SESSION04:パーパスを現場の行動へ―イオン九州「変革と挑戦」育成プログラムの実践知
SESSION05:経営戦略と人事を一本でつなぐ―エーザイの360°×DiSC® 実装ストーリー
SESSION06:戦略人事のこれまでとこれから
SESSION07:我が国の未来を見据えた、新たな組織・人材戦略の方向性
2026年04月03日
