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240名対面研修で実証──DiSC®の組織変革効果
多様性が交差するリアルな体験の場

【ご協力】日本電気株式会社(NEC) 様

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240名が一堂に会し、対話で“つながる”場を創る──。
2025年4月、日本電気株式会社(以下、NEC)様にて開催されたDiSC®対面研修は、240名規模の大人数でありながら、双方向のコミュニケーションを中心とした研修設計によって、リアルな対話や相互理解が生まれる場として機能しました。「ただ聞くだけの研修」ではなく、「話し合い、わかり合う」場をどうつくるか。HRDは、その設計・ファシリテーションに協力し、DiSC®を活かしながら、相互理解と行動変容のきっかけを生む体験設計を行いました。
本記事では、当日の様子を紐解きながら、HRDが提供する研修の本質──「使わせる」のではなく「動かす」ための設計思想と、その効果についてご紹介します。

日本電気株式会社
テクノロジーサービスソフトウェア統括部長
秀島 功介 氏

日本電気株式会社
テクノロジーサービスソフトウェア統括部
原口 敦史 氏

HRDの設計思想──“使わせる”ではなく“動かす”ために

HRDが提供するのは、アセスメントの導入支援や使い方の説明にとどまりません。私たちの目的は「受講体験者の行動が自発的に変わること」、そしてそれが「組織文化に定着し、成果に結びつくこと」です。

アセスメントの活用や共通言語化は出発点にすぎず、組織文化の変革や関係性の再構築を支援する“行動変容の設計”に重きを置いています。今回の大規模研修でも、一人ひとりがレポートと向き合い、他者との違いを理解し合うことで、確かな変化の兆しが現れていました。

240名規模でも成立するDiSC®対面研修

DiSC®研修といえば、少人数~50名程度での実施が一般的とされがちですが、NEC様では240名という大規模な対面研修を実現。本研修の企画には、テレワークが浸透したことで同じ組織内でも「知らない人」が増え、部門や役割を越えた関係性の再構築が課題となっていたことが背景にあります。

この機会を「インプット型研修」ではなく、「リアルな対話と相互理解の場」にしたい──そんなNEC様の想いを受け、HRDが設計・進行をサポート。大人数の参加者が一度に同じ体験を共有するイベントには、共通言語が一度に組織に浸透し、文化変革のスピードも加速する、というメリットもあります。

今回はメイン講師に加え、複数のDiSC®認定資格者がグループをサポート。HRDではこれまでにも300名以上の対面研修を実施しており、大規模設計のノウハウが活かされています。

今回はメイン講師に加えて、10名のDiSC®認定資格者が各グループをサポートしました。

「つながり直す」関係性づくりの場

対面だからこそ立ち上がる“リアクション”

研修の場では、行動スタイルの違いから生じる「伝わらなさ」や「すれ違い」が、その場で言語化され、リアルタイムに調整しあう光景が多く見られました。これは、表情や間合い、声の抑揚など、非言語的な手掛かりを伴う対面の“身体性”があってこそ成り立つ体験です。

雑談のようなカジュアルな対話が自然発生しやすい環境により、誤解が即座に軌道修正されていく──こうした“関係性の質”への即時介入の構造は、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱した「成功循環モデル」にも通じます。キム氏は、成果を上げるためにはまず関係性の質を高めることが必要であり、その関係性が思考と行動の質を変え、結果の質へとつながっていくと説いています。

今回のDiSC®研修では、このモデルの原理を「理論ではなく体感として」実感できる場となりました。

出典:Daniel Kim, “Organizational Learning and the Success Cycle,” Pegasus Communications, 1999

“違い”を可視化し、共有する対話のワーク

プラチナルールの実践

研修では、「自分がしてほしいことを相手にする(ゴールデンルール)」ではなく、「相手がしてほしいことを相手にする(プラチナルール)」という考え方が紹介されました。これは、NEC テクノロジーサービスソフトウェア統括部にて、人事研修やDiSC®の推進役を担う原口敦史氏が現場で大切にしている姿勢でもあります。

自分の基準に相手を当てはめるのではなく、相手の基準に立つ――容易なことではありませんが、「なぜ通じないのか?」ではなく、「どう伝えれば通じるか」は、対話を変えていくために欠かせない視点であり、DiSC®の理解を深めるうえでも重要な示唆を与えます。スタイルに応じた接し方を学ぶことで、組織内の信頼構築を促進する。DiSC®を通じてその視点が自然に醸成されていきました。

「魚を描く」──解釈のズレが対話の入口に

冒頭に実施した「魚を描く」1分間ワークでは、参加者の行動傾向の“違い”を瞬時に浮かび上がらせました。シンプルな指示でも、写実的に描く人、抽象的に捉える人、物語性を重視する人などアウトプットは様々。参加者同士が“違い”を前提とした対話へ自然に入っていくきっかけになりました。

同じ「魚」という1つの言葉からイメージされるものでも、金魚や鯛など思い描く魚は人それぞれ異なります。
背景を描いたり、表情があったり。なかにはウナギを描かれた方もいました。

可視化と翻訳──スタイルを国に見立てたポスターワークで深める相互理解

D・i・S・Cの各スタイルを「国」に見立て、以下の3つのテーマをもとに、絵や図も交えて1枚のポスターにまとめるグループワークを実施。

  • この国が大切にしていること
  • この国が避けたいこと/苦手なこと
  • 国旗(シンボル)

「自分たちのスタイルをどう表現するか?」という問いに向き合うこのワークは、同じスタイル内でも多様性があることに気づき、異なるスタイルからの質問を通して新たな視点も得られる、非常に密度の高い対話の場となりました。

さらに、スタイル間の“翻訳”――ここで言う“翻訳”とは、スタイルの違いによって生じる「誤解」や「すれ違い」を、相手の動機や欲求に基づく行動傾向に沿って受け止め直すことを意味します。たとえば、冷たく見える言動が「効率性の重視」から来ていると理解できると、誤解が減り、構えずに受け止めることができ、関係の質が変わるという気づきが生まれていました。

NEC人材戦略との接続性と参加者の声

NEC様では、「挑戦する人の、NEC。」を掲げ、L&D統括部や職種別人材育成委員会による育成体系の再構築、DX人材の計画的育成など、人的資本経営を推進する取り組みが全社横断で進めています。今回のDiSC®研修も、単なる集合研修ではなく、組織内における関係性、エンゲージメント向上といった人事経理戦略施策の一環として実施されました。

秀島氏・原口氏(研修企画・立案ご担当)インタビューより 

  • 「これまで管理職を対象にした小規模な研修は実施していましたが、今回は200名規模での対面開催という新しい試みに挑戦しました。リアルな場でお互いのスタイルや動機・行動傾向を共有し合うことで、想像以上に深い気づきが生まれ、職場の関係性にも良い影響がありました。」
  • 「特に印象的だったのは、普段あまり接点のないメンバーとも自然に話せたことです。“あ、この人も同じようなことを考えていたんだ”という共感が生まれることで、横のつながりが広がる実感がありました。」
  • 「レポートを細かく読み込んで、早速行動に活かそうとする社員もおり、分析志向の強いメンバーにも手応えがありました。今後は、実践で得られた成功・失敗の体験をチーム内で共有する場を設けながら、さらに継続的に活用していきたいです。」

研修参加者の声(アンケートより一部抜粋)

  • 「分かってもらえると、すごくホッとしました。自分だけじゃなかったんだって思えるのはとても安心しました。」
  • 「これまで“なぜ伝わらないんだろう”と萎縮していた相手にも、スタイルの違いがあると理解できてから、少し構えずに接することができました。」
  • 「“違って当たり前”と実感できて、コミュニケーションってこんなに楽しめるんだ、と驚いています。」
  • 「あのポスターワークの時間が、普段は言えない“本音”を引き出してくれました。」
  • 「“他者理解”という言葉の本質が初めて腑に落ちましたし、これまでに受けた研修の中で、一番“実感”が伴いました。」

おわりに――組織変革の出発点としてのDiSC®

人にはそれぞれ異なる動機や行動傾向があります。ときにそれが誤解や衝突を生みますが、違いがあることを前提に、翻訳し合い、すり合わせ、対話をしていく過程こそが成長と変化の土台になります。

Everything DiSC®は、そうした“違い”をただの「心理特性」として理解し、行動変容への起点とするための共通言語です。そしてさらに重要なのは、そこから生まれる自発的な変化と、それによって組織全体に波及する実効的な成果を上げることです。本研修も、実施後の振り返りで終わらせるのではなく、長期にわたって効果を定点観測していくことが欠かせません。

私たちは、人と組織の間にある「伝わらなさ」を越えるために、科学的なアセスメントと共創的な体験設計を組み合わせ、対話から始まる変化を支援し、成果が出るまで伴走しています。

現場で必要とされる“対話”のかたちは組織によってさまざまです。
私たちもまた、そうした問いにご一緒に向き合う機会を大切にしています。DiSC®の導入や研修のご相談に限らず、お気軽にご連絡ください。

私たちHRDコンサルタントがサポートします。

【お問い合わせはこちら】
電話:03-6777-7636(平日9:00–18:00) MAIL:info@hrd-inc.co.jp


2025年06月03日

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Everything DiSC®紹介資料

本資料では、Everything DiSC®がもたらす体験や対人関係についての尺度、組織カルチャーの共通言語となる特徴についてご説明し、併せて学術的背景、DiSC®理論概要、レポート詳細、活用事例などをご紹介しています。

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