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 営業の成果は“理解する姿勢”から生まれる──相手を知ろうとすることで関係も数字も変わる【前編】

三菱ふそうトラック・バス株式会社
淡路 鷹也 様/越智 圭吾 様/相沢 弘之 様
星野 雅亮 様

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営業の成果は「相手を理解しようとする姿勢」から生まれる——三菱ふそうトラック・バス株式会社様の営業育成プログラムは、その考えのもと設計されています。全国約800名の営業職を対象とした2年半のプログラムで、最初に取り組むのがDiSC®です。自分のスタイルを知り、相手との違いを受け入れることが、あらゆる営業スキルの土台になる。葛藤を経て、現場で「自分なりの武器」を掴んだ3名と、伴走した講師に話を伺いました。三者三様のリアルな成長物語を前後編でお届けします。(本記事は前編です)

淡路 鷹也 様 三菱ふそうトラック・バス株式会社

Diスタイル
元メカニックから営業へ。スピード重視。以前は「一方的な提案」で壁に。

越智 圭吾 様 三菱ふそうトラック・バス株式会社

Cスタイル
事前にじっくりと考える慎重派。以前は営業に苦手意識があり「淡々と業務」をこなす。

相沢 弘之 様 三菱ふそうトラック・バス株式会社

Sスタイル
誠実・丁寧な人柄。以前は「迷惑をかけたくない」と控えめになりがちだった。

星野 雅亮 様 三菱ふそうトラック・バス株式会社 FUSOアカデミー

iスタイル
研修講師。3名の成長を見守り、理論と実践をつなぐ伴走者。

▼インタビュー動画はこちら

なぜ営業は難しい? 異動・配属当初に感じた壁と変化のきっかけ

—— 今回、営業職に就かれている皆さんに特化してお話を伺います。テーマは「お客様との関わり方」。
三菱ふそうトラック・バス株式会社様では営業職の方を対象に、2年半にわたる育成プログラムを実施しており、その最初の段階にDiSC®を取り入れていただいています。
まずは、研修に入る前、異動や配属当初、営業という仕事にどんな難しさを感じていましたか?

淡路さん(Di):私はもともとメカニックとして入社しましたが、あるタイミングで営業職を任されることになりました。メカニックのときは“モノ”を相手にしていましたが、営業は“人”と向き合う仕事。ここが大きなギャップでした。

 最初は、正直に言うと「何を話せばいいのか分からない」。とにかく名前と顔を覚えてもらうことに必死で、気づけばあっという間に1年が過ぎていました。ただ、人と話すこと自体は嫌いではなかったので、大変さを感じつつも、なんとか乗り越えて進んでこられたと思います。

──営業になられた当初、何か壁を感じましたか?

淡路さん(Di):決定的に困ったのは、会話が止まってしまうときでした。というのも私は最初、「車を売りに行く」という意識しかなかったんです。でも、それだと話が終わってしまう。こちらから「どうですか?」と一方的に提案して、相手に「いらない」と言われると、その時点で関係が途切れてしまうんです。――これじゃまずいな、と感じていました。

──なるほど。ただ単に「売る」のと「営業する」のでは大きな差があったんですね。越智さんはいかがですか?

越智さん(C):私も振り返るとコミュニケーションが課題でした。それまで営業や人と深く関わる仕事をしたことがなく、最初は「営業」という仕事に強い苦手意識がありました。入社時は22歳と若かったこともあり、話すこと自体が得意ではなく、どうやってお客様のふところに入り込めばいいのか、本当に悩みました。

 ただ、まずは「人を見る」「相手が何を求めているのかを聞き出す」ことを意識するようにしたところ、徐々に営業が楽しくなってきました。

星野さん(i):講師として研修で越智さんと最初にお会いしたときの悩みは、「お客様に興味を持てない」というものでした。営業職として「果たして何をすることが営業なのか」が見えていなくて、迷走していたんです。勢いのあるお客様に飲まれてしまうこともあり、自分のイメージと実際に求められることの間にギャップがあった。

 ただ、それが少しずつ見えてくるようになると、自然に「このお客様は何に興味があるのか」「その先には何があるのか」という部分に意識が向くようになりました。そこが大きな変化だったと思います。

元々の経歴も性格もバラバラな皆さん。しかし、三者三様のお悩みの根幹には「コミュニケーション」が共通。

相沢さん(S):私はむしろお客様に興味を持ってもらえてないんじゃないか、というのが当初の悩みでした。もともと車両業務を長く担当しており、30代後半になって営業に異動しました。そこで最初に感じたのは、人と人との間にある“スタイルの違い”の難しさです。年齢的にある程度しっかり見てもらえる部分はありましたが、それまで狭い世界で仕事をしていた分、多様性を受け入れ、学びながらやっていく必要があると感じました。

 特に当初は、“迷惑をかけてはいけない”という思いが強く、お客様に十分な印象を残せていないのではと悩んでいました。そんなときに星野さんから『元気よく声をかけてみては?』とアドバイスをもらい、思い切って実践するようになったんです。訪問の際には事務員さんにも一言添えるなど、“相沢が来た”と分かるように心がけるようになりました。

また、私は完璧に仕上げてからでないと見積書を出せないところがあったのですが、それではお客様が本当に求めていることとすれ違ってしまうこともある。私にとっては少し未完成に思えてもまずは出して、会話をしながらブラッシュアップしていくほうが相手にとっては有益だと気づきました。そうした意識の転換が、自分の営業スタイルを大きく変えるきっかけになったと思います。

──転換点というと、淡路さんはひとつ大きなポイントがあったとか。

淡路さん(Di):はい、非常に良い経験をさせていただきました。年に一度の大きなCSコンテストという大会がありまして、そこではお客様対応や納車説明などをロールプレイ形式で審査されます。自信をもって臨んだものの、そこでまったく良い結果が出せず、『これは変わらなければダメだ』と痛感しました。

 そのタイミングで、資格制度の特別枠として星野さんの研修に参加する機会をいただき、これが自分にとって大きな転換点でした。

 研修で学んだことは、まさに喉が渇いているときに水を飲むようにすっと入ってきた感覚でした。毎日の営業活動は実践とテストの連続です。その中で落ち着いてコミュニケーションを取り、相手と向き合うことがいかに大切かを実感しました。営業にとってこれは必須のことだと強く思っています。

全国の猛者が集まる大会に参戦するもあえなく撃沈――。その悔しさをばねに参加を直談判した研修が大きな転機に。

──みなさん、営業というお仕事に対して正解が見えない中での葛藤があったんですね。たとえ知識や経験が豊富でも、営業は“どう相手に届けるか”が欠けがち。最初に必要なのは信頼関係という土台を築くことだったことが伺えました。

研修プログラムの最初にDiSC®を学ぶ――自己理解と他者理解が基礎をつくる

──研修冒頭のDiSC®で「自分を知り、違いを受け入れる」ことから始まっていますが、具体的にどのような気づきが、日々の営業スタイルの変化に繋がったのでしょうか?

淡路さん(Di):自分にとって最初の大きな気づきは、研修前に受けたDiSC®の結果でした。レポートを見たとき、“これは自分の取扱説明書そのものだ”と思うくらい当てはまっていて、本当に驚きました。

 ただ、研修を受けてみると、そのままの自分のやり方では通用しないことに気づきました。自分にとって心地よいスタイルでも、相手にとっては違和感になる場合がある。だからこそ、相手のスタイルを理解し、広い視点で考える必要があると強く感じました。

 私はスピード感を重視するのですが、それだけでは相手を置き去りにしてしまう。レポートで“まさにその通りだ”と納得したと同時に、そこをどう補うかを考えるようになったのは大きな学びでした。

相沢さん(S):私も研修を通じて大きな気づきがありました。特に、自分の強みと弱みを客観的に整理できたことです。私はSスタイルが強く、慎重さから“迷惑をかけないように”と考えすぎてしまう傾向があることがまずわかりました。その結果、行動が控えめになることも多かったのですが、同時に誠実さや丁寧さは強みでもある。その両面をはっきり認識できたのは大きな学びでした。

さらに、4つのスタイルを理解することで、“自分のやり方だけにこだわらなくてもいい”と気づきました。状況に応じて違うアプローチを選び、相手に合わせることができる。そうして選択肢が増えたことで、営業活動に活かせる幅が大きく広がったと思います。

越智さん(C):私の場合は、研修をきっかけに“感情を込めて営業に向き合う”ようになったのが大きな変化でした。以前はどちらかというと淡々と業務をこなすような感覚で、正直それでは面白くないし成果も出にくい。どうせやるなら楽しんでやりたいと思うようになったんです。

 そこで意識するようになったのが“お客様に寄り添う”ことでした。ただ業務をこなすのではなく、相手が何を求めているのかをよく見るようにした。そうすることで会話にも感情が入るようになり、仕事自体が前よりもずっと楽しくなっていきました。

星野さん(i):今回の育成プログラムの冒頭にDiSC®を置いたのは、あらゆるスキルを学ぶ前に“相手への理解”が必要だと考えたからです。自己理解と他者理解を起点にすることで、その後に続くスキル研修がより実践的に活きるように設計しています。

一方通行から相互理解へ――相手のスタイルに合わせた営業とは?

――自分のやり方に固執せず「相手」を見ることで、一方通行を脱したわけですね。では、その気づきを具体的にどう日々の振る舞いに落とし込んでいったのでしょうか?

淡路さん(Di):自分は極端な性格だと感じていたので、最近はお客様の話し方やトーンに合わせることを意識するようになりました。ガツガツ行くのではなく、相手の雰囲気に寄り添うように心がけているんです。そうすると会話がどんどん続くようになり、気づけば『あ、もうこんな時間です、すみません』という場面が増えてきました。まるでタクシーのように、誰でも自然に乗ってこられる関係性をつくれるようになった感覚があります。

 自分を変えることで、相手から学ばせてもらえることも多くなりました。知識や経験の幅が広がり、営業マンとしてだけでなく、人としても成長につながっていると思います。

越智さん(C):自分にとって大きな変化は、商談前の準備の仕方です。お客様ごとに違うストーリーを描いて臨むようになりました。言葉の選び方や資料を出すタイミングなどを考え、このお客様なら最初に一気に攻める、別のお客様ならじっくり引いて最後にまとめる、といった具合に相手に合わせるようになったんです。

 そうすることで、商談の最後にお客様が“納得した顔”で終えられることが増えました。売れるかどうかよりも、お客様に心から「納得してもらえた」という実感が自分にとって一番の喜びです。押し切るのではなく、必要だから買うと納得していただける。そのために準備の仕方やストーリーの描き方が大きく変わりました。

星野さん(i):越智さんの変化は、ゴールからの逆算を描けるようになったことだと思います。お客様が求めているものをイメージし、その着地点にどうアプローチすればよいか。そこから逆算してストーリーを組み立てられるようになったのが大きな成長です。

——今お聞きしていて思ったのですが、皆さんのお話からは“お客様のスタイルや欲求を捉えたうえでアプローチを工夫している”のがよく伝わってきます。ただ実際には、それができないから「DiSC®をどう使ったらいいのか分からない」という営業の方も多いんです。そこで改めて伺いたいのですが、皆さんはどのようにして「このお客様はこのスタイルだ」と感じ取っているのでしょうか?

相沢さん(S):私はまず電話でのやり取りから相手の雰囲気を感じ取るようにしています。事務所に伺ったときの空気感や、周りの従業員さんの様子からもヒントがありますね。

それに加えて、お客様の表情や話し方を見ながら“この方は速いペースを好む方なのか、比較的穏やかなペースなのか”を探る。そうやって観察したうえで、自分なりに4つのスタイルを手がかりにして対応を工夫するようにしています。

淡路さん(Di):何度も足を運んでいるお客様の場合は、会話の流れから“この方は世間話を好む方なんだな”と感じ取ることが多いです。つい話が長くなりがちですが、その雰囲気を把握したうえで要所では切り替えるようにしています。

 また飛び込み営業のときは、会社全体の空気や担当者の出方を見ながらスタイルを探ります。テンポよく進めたいのか、それともじっくり話したいのか──そうした手がかりを感じ取り、その場で自分の対応を変えるようにしています。

越智さん(C):私もまずイメージで人を4つのスタイルのどの欲求を強く持っているのかを考えるようにしています。そのうえで、飛び込み営業の際には事務所の外観や会社の雰囲気を見て“どんな人がいるのか”を想像しながら入っていきます。

 実際に挨拶を交わしたときの話し方や歩き方、従業員さんとの会話の内容などからもヒントを得て、頭の中のイメージを修正していく。すると大体その予想は当たっていることが多いので、『このお客様はこのスタイルだな』と判断して対応するようにしています。

星野さん(i):研修では“仮説を立てて観察し、考察する”ことを大事にしています。仮説を立てる目的は、顧客をより深く理解するための問いを準備するためです。目の前の顧客が何を求め、何を大切にしているのかに関心を持ち、丁寧に観察することで表面的な情報だけでなく、その背景にある価値観や動機に気づく力が養われます。

 さらに、観察によって得られた事実をもとに考察を重ねることで、自分自身の関わり方の基準が生まれます。この基準により、必要に応じた調整が可能になりますので、仮説が当たっているかどうかは問題ではありません。

 重要なのは、感覚に頼っていた対応を「見える化」し、観察と考察を通じて、より意識的に顧客理解を深め、自身の行動を調整しようとする姿勢です。このプロセスこそが研修を通じて得られる最も大きな変化であり、営業活動において顧客との信頼関係を築くための土台となります。

2026年03月02日

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