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会議疲れ──目的を見失った会議が、ストレスを増幅させるとき

原文:Meeting Fatigue: When Meetings Miss the Mark, Stress Soars
執筆:Janelle Beck, Senior Copy Editor & Tracey Carney EdD, Research Manager
翻訳:HRD株式会社

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気づけば一日中会議に追われ、「今日は何を成し遂げたのか」と自問する──そんな経験は誰にでもあるはずです。
本記事では、目的を見失った会議がどのように職場のストレスや疲弊を生み、特に管理職層に深刻な影響を与えているのかを検証。Everything DiSC®が提示する「人間関係の質から生産性を見直すアプローチ」に着目し、組織が抱える“会議疲れ”の構造的課題に光を当てます。

原文:Meeting Fatigue: When Meetings Miss the Mark, Stress Soars | Everything DiSC
出典:WILEY Workplace Intelligence|Everything DiSC®(2025年4月28日公開)

「これ、メールでよかったのでは?」
そんな言葉が、会議を終えた直後にふと頭をよぎったことはありませんか?

業務量が増大し、ストレスが高まるなかで、会議は私たちの限られた時間を大きく占めるようになっています。

ワイリーワークプレイスインテリジェンスでは、仕事に起因するストレスの実態を継続的に調査しており、そのなかでも「不要な会議」や「焦点の定まらない会議」が、緊張や疲労の温床になっていることが、たびたび報告されています。

明確な目的やアジェンダのない会議、頻度が多すぎる会議、あるいは“なんとなく”設定された会議……。 そうした場が日常化するなかで、ビデオ会議や対面の打ち合わせに費やす時間は増え、あらゆる階層の従業員に負荷を与えているのです。

会議が多いほど、ストレスも増える

週15時間以上を会議に費やしている人のうち60%が深刻なストレスを感じている

私たちが1,500名に実施した調査では、週に15時間以上を会議に費やしている人のうち、60%が「深刻なストレスを感じている」ことがわかりました。

「会議に一日をまるごと費やしたことがある」――これは、多くの人にとって身に覚えのある感覚ではないでしょうか。 パソコンを閉じながら、「今日は結局、何ができたんだろう?」と自問する。そんな日は、誰にでもあるはずです。

何時間も会議に割かれれば、普段なら生産的に過ごせるはずの時間が、トピックが次々に移り変わる“曖昧な渦”に飲み込まれていきます。

こうした状況下では、注意力の低下や燃え尽きといった直接的な影響だけでなく、 スケジュールに対するコントロール感の喪失や、肝心の業務に取り組む時間の欠如といった間接的な負荷も生まれます。

表面的には「忙しい=生産的」と見えるかもしれませんが、会議の多さはむしろ逆効果。 仕事の手応えを感じられず、メンタル面にまで悪影響が及ぶリスクがあるのです。

さらに問題なのは、会議と会議の合間も「空白時間」として使いづらくなる点です。 まとまった集中作業には足りず、タスク処理も中途半端に。

さらに、複数の議題を行き来する“コンテキスト・スイッチング”が脳に与える負荷は大きく、 カメラオンの連続会議では、自分の顔を何時間も見続けることによる心理的疲労も無視できません。

非生産的な会議がもたらす代償

3人に2人が非生産的な会議によって疲労を感じている

もちろん、会議は本来、意味があって設定されるものです。誰も好き好んで時間を無駄にしたいわけではありません。

それでも私たちの調査では、3人に2人が「非生産的な会議によって疲労を感じている」と回答しています。

「この会議、なんのためだったっけ?」

誰が進行するのか分からない、沈黙が続く、結局何も決まらない──。 そんな経験、誰しも一度はあるのではないでしょうか。

非生産的な会議は、時間・エネルギー・リソースを大きく浪費し、 従業員の士気と集中力を削ぎ、生産性と効率性の低下を招きます。

それが繰り返されれば、いずれ無力感や離脱感が生まれ、 メンタル面だけでなく、組織の業績にも影響を与えることになります。

実際、57%のマネージャーは「自分が参加している会議の多くは必要」と考える一方、 「実際に効果的だ」と答えたのは32%にとどまりました。

このギャップは、組織が変わるための明確なチャンスでもあります。 会議前に目的・アジェンダ・期待する成果を明確にするだけで、 参加者の準備も深まり、短時間で生産的な議論が可能になります。

会議を「有意義な時間」に変えるために

会議は、本来、方向性を揃え、関係性を強化し、責任を明確にし、協働を促進するための場です。 とくにハイブリッドワークが進む現代において、会議の質は組織文化そのものに直結すると言えます。

参加者の声から見えてきた「会議の生産性を高めるための3つの鍵」はこちらです。

明確なアジェンダを共有する

目的と流れを共有することで、議論に集中できる環境を整える。

重要な意思決定事項を特定する

会議が「話し合い」で終わらず、実行に移せるようにする。

アクションアイテムを明確にする

誰が、いつまでに、何をするのか。タスクを明確にして前進を加速する。

この3つに共通するのは「明確さ(clarity)」です。 会議招集前に「この会議のゴールは何か?」を自問するだけで、 会議文化は少しずつ変わっていきます。

アジェンダの事前共有、こまめな休憩の設定、 時間や回数を見直すといった工夫も、改善の一歩です。

AIで会議を“軽く”する

生成AIの登場により、会議関連の業務もより効率化できるようになってきました。 たとえば、CopilotやChatGPTを使ってアジェンダや目的を整理することは、実務負荷を減らし、準備時間を短縮するのに効果的です。

また、Microsoft TeamsやZoomなどに搭載された自動文字起こしや要約機能を活用すれば、 会議の振り返り、タスクの分担、進捗管理もスムーズになります。

会議の効果を保ちつつ、管理職やリーダーの時間を圧迫しない── そんなテクノロジーの使い方が、これからの新しい「会議の形」をつくっていくのかもしれません。

「少なく、よい会議」が人と組織を支える

会議疲れの軽減は、従業員の健康と生産性を守るために不可欠です。

目的が明確で、集中できて、必要な範囲に絞られた会議。 そうした設計があれば、社員はより意味のある仕事に、時間と意識を集中できます。

結果としてストレスや燃え尽きが減り、創造性やエンゲージメントが高まり、 組織全体の効率や成果にも好影響をもたらすのです。

──調査が示すのは、シンプルな真実。

「少なく、よい会議」が、人を幸せにし、成果を生む。

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HRDとWiley社のパートナーシップについて

HRDは、米国Wiley社と日本国内における独占販売契約を締結しており、同社が提供する各種アセスメントの日本語版開発および総販売代理権を保有しています。

現在、日本では主に以下の4つのアセスメントを提供しております:

  • Everything DiSC®:対人関係と行動傾向を可視化し、組織内のコミュニケーションを促進
  • ProfileXT®:職務適性を測定し、採用・配置・育成の精度を高める統合型アセスメント
  • CheckPoint 360°™:リーダーの現状と課題を多面的に捉える360度フィードバックツール
  • Organizational Alignment Survey:組織の一体感・方向性の共有度合いを測定するサーベイ

またHRDでは、Wiley社からの最新の調査レポートやグローバル動向を継続的にキャッチアップし、日本のビジネス現場に向けて発信・解説する取り組みも行っています。アセスメントの活用にとどまらず、人的資本経営・組織開発の最前線を共有し続けることが、私たちの使命の一つです。

※日本語版以外のご提供も当社にて可能です。詳しくはお問い合わせください。
※当社はWiley社より「2024 Platinum Award Winner」を獲得しています。本アワードは、全世界のパートナー企業のうち上位1%のみに贈られる名誉ある賞です。

We are proud to have received the “2024 Platinum Award” from Wiley. This prestigious honor is awarded to only the top 1% of Wiley’s partner organizations worldwide.


※本記事の著作権は米国Wiley社が保有しています。
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2025年06月06日

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