DiSC®︎を活用した組織風土改革、 リーダー育成,心理的安全性を高める組織開発ならHRD

未来はすでに始まっている:2025年の職場を形づくる5つの課題

原文:The Power of Constructive Feedback in Organizational Culture

記事をシェアする

2025年の働き方を左右する、5つの組織課題とは?
AIの急速な浸透、揺れる経済情勢、働き方の多様化——2025年も、組織は大きな変化の波の中にあります。そんな中、今後の人事・組織戦略を考える上で注目されるのが、Wiley社が実施した2,000人規模の意識調査です。本記事では、その調査結果から導き出された「2025年の5大組織課題」と、今から備えるための実践的なヒントをご紹介します。


水晶玉こそ持っていなくとも、2025年がまたしても激動の一年になることは想像に難くありません。AIの継続的な進化、経済や世界情勢の不安定さ──あらゆるレベルの働き手が、急激な変化の中でかつてないストレスにさらされています。

不確実性に満ちた年に備える最良の方法は、リサーチに耳を傾けること。Wiley Workplace Intelligenceは、全米2,000人を対象に調査を行い、今後の組織における優先課題についての洞察を得ました。ここでは、2025年に直面するであろう5つの主要な組織課題と、それぞれに対して何ができるかを紹介します。

AIの可能性を引き出すための人材育成

回答者の36%が「人材と将来の事業との整合」を課題視

変化のスピードがあまりにも速いため、1年後の私たちがどこにいるかを正確に予測することはできません。しかし、ひとつ確かなのは──組織は、将来のビジネスニーズに人材を適応させるために、積極的に取り組む必要があるということです。

技術革新、働き方の進化、新たなビジネス優先事項など、あらゆる変化に対応するうえで、こうした取り組みは不可欠です。実際に、回答者の36%が「人材を将来のビジネスに適応させること」を2025年の最大の課題に挙げています。

では、何ができるか?

将来のビジネスニーズに人材を適応させるには、組織全体の「アジリティ(機敏性)」を高めることが鍵です。

明確なコミュニケーションは、良好な組織文化の土台です。特に変化の激しい今、その差が成果を大きく左右します。レジリエンス(回復力)を育て、新たなスキルを習得し、デジタル技術を活用するためには、以下のような基本的な取り組みが効果的です。

  • 期待する行動や方向性を明確に伝えること
  • 必要な支援やリソースを提供すること
  • 双方向のコミュニケーションを通じて課題を共有し、対処できる環境を整えること

こうしたシンプルなステップの積み重ねが、組織全体に「成長志向(グロースマインドセット)」を根づかせ、長期的な発展につながります。

社員のスキルアップ

35%の回答者がスキルアップ(アップスキリング)を課題視

私たちの調査では、回答者の35%が「社員のスキルアップ(アップスキリング)」を来年の主要課題に挙げています。これは、「人材を将来のビジネスニーズに適応させる」という課題とも深くつながっており、スキルアップの実現にはアジリティ(柔軟性)と組織的な支援が欠かせません。

AIの可能性を模索し、新しい取り組みを始め、グローバルな変化に対応していくなかで、従業員一人ひとりが業務を遂行するための新たなスキルを習得する必要性が高まっています。これは、不安と同時に前向きな期待も生み出す要素です。

では、何ができるか?

効果的なスキルアップの第一歩は、質の高い学習機会を見極め、それを必要な人に届けることです。

これは一般社員だけでなく、マネージャーにも同様に重要です。マネージャーはしばしば「他者に学びの機会を提供する役割」として期待されがちですが、自分自身の学びは後回しにされることも少なくありません。しかし、適切な研修もなく、新しいテクノロジーやスキルへの対応を期待するのは、失敗のもとです。士気が低下し、離職が増え、組織の成果にも悪影響を及ぼす可能性があります。

スキルアップの機会が生まれたときには、マネージャーがチームと協力して、適切なトレーニングや教材を見つけることが重要です。そうすることで、社員は自分に必要なスキルを無理なく、そして効果的に学ぶための支援を受けられます。

必要なツールや支援を得て成果を実感できたとき、社員のモチベーションは大きく高まり、組織全体に良い影響が波及していきます

優秀な人材の確保と定着

32%の回答者が「優秀な人材の確保と定着」を課題視

「優秀な人材の確保と定着」も、2025年に予想される重要な課題のひとつです。

経済が依然として不安定な軌道をたどり、リターン・トゥ・オフィス(出社回帰)などの新たな取り組みが進む中、「グレート・ステイ(人材が動かない時代)」が再び「グレート・レジグネーション(大量離職)」へと転じる可能性が懸念されています。

これまで多くの人が、かつてないレベルのストレスや不満を抱えながらも現職にとどまってきましたが、世の中の変化や価値観の転換とともに、「このままでは人材の確保と定着が難しくなるのでは」という声が高まりつつあります。実際に、32%の回答者がこの点を最も大きな懸念として挙げました。

では、何ができるか?

優れた組織文化は、あらゆる成功の土台です。
たとえ外部環境をコントロールできなくとも、組織内での施策の進め方次第で、人が“とどまりたい”と思える文化を築くことは可能です。

具体的には:

  • 信頼に基づいた丁寧なコミュニケーション
  • 健全なワークライフバランスや柔軟な働き方の推進
  • 環境に左右されない、成長の機会の提供

こうした取り組みは、「仕方なく残る」ではなく、「ここにいたい」と思える職場づくりにつながります。

経済の不確実性

30%が「経済の不確実性」が課題であると回答

2025年に向けて、「経済の不確実性」を最も大きな課題として挙げた回答者は30%にのぼりました。
経済的な懸念は、個人の従業員だけでなく、組織全体にも深刻な影響を及ぼします。

景気の不安定さによる雇用不安、報酬や福利厚生の減少への懸念、業務負荷の増大やキャリア開発機会の減少など、さまざまな形で社員のモラル(士気)やウェルビーイングに影を落とす可能性があります。

では、何ができるか?

ここでもやはり、効果的なコミュニケーションと組織のアジリティ(柔軟性)こそが、不確実性への最良の処方箋です。

とはいえ、恐れに駆られた意思決定や場当たり的な対応が組織に緊張感を生み出し、成長マインドセットや探求心を失わせてしまうリスクもあります。

たとえば、伝統的な昇給や賞与が提供できない状況であっても、

  • その理由を明確に伝えることで混乱を避け、透明性を保つこと
  • 金銭的な補償ほど即効性はなくても、社員の幸せに投資していることが伝わるような代替的な支援策を提供すること

が大切です。

こうした代替案には:

  • 柔軟な働き方の推進
  • 学習機会やキャリア開発の支援
  • 意味のある承認・称賛の文化 などが挙げられます。

これらは、短期的な報酬以上に、社員が「自分は大切にされている」と実感する土台となり、持続的な組織力につながります。

エンゲージメントの維持

回答者の30%が「社員のエンゲージメント維持」を課題に挙げ

不確実性と絶え間ない変化のなかで、社員のエンゲージメントを維持することは簡単ではありません。
実際、調査では30%の回答者が、エンゲージメント維持を2025年の主要課題として挙げています。

燃え尽き症候群や過労は広く見られ、経済的・私的なストレスが仕事に影響を及ぼしているケースも少なくありません。また、世界全体の不安定な状況も、社員のパフォーマンスやモチベーションに陰を落としています。

だからこそ今、組織は本気で「効果的なコミュニケーション」と「チームの一体感」に根ざした文化づくりに取り組む必要があります。どんな状況でも、職場が「安心して自分らしくいられる場所」であることが、社員の力を引き出すための土台なのです。

では、何ができるか?

社員エンゲージメントを高めるうえで、「コミュニケーション」と「文化」が重要なのは言うまでもありません(実際、それは他の課題にも通底するテーマです)。

  • 組織内の信頼を築くために、変化や不安定な状況について透明性を持って共有すること
  • 社員一人ひとりの力を活かす土壌を整えること

そして、「誰にでも同じ対応」ではなく、「その人に合った関わり方」を意識することも大切です。

たとえば、大きな組織変革に向けて動き出す際、

  • 時間をかけて丁寧に説明を受けてから動きたい人もいれば、
  • 細かい説明よりもまず行動して体感したい人もいます。

マネージャーには、そうした違いを理解したうえで、それぞれの人が「大切にされている」と感じられる関わりをつくる責任があります。

おわりに

2025年の行方は誰にも分かりませんが、今回の調査から浮かび上がったのは、どんな時代でも変わらない組織づくりの本質です。信頼・対話・柔軟性をベースにした組織文化こそが、どんな未来にも耐えうる「人と組織のレジリエンス」を育てるカギとなるでしょう。

原文:The Future is Now: 5 Workplace Challenges That Will Shape 2025
執筆:Janelle Beck, Senior Copy Editor & Tracey Carney EdD, Research Manager
出典:WILEY Workplace Intelligence|Everything DiSC®(2025年1月27日公開)

WILEY Workplace Intelligence 翻訳記事一覧はこちら


HRDとWiley社のパートナーシップについて

HRDは、米国Wiley社と日本国内における独占販売契約を締結しており、同社が提供する各種アセスメントの日本語版開発および総販売代理権を保有しています。

現在、日本では主に以下の4つのアセスメントを提供しております:

  • Everything DiSC®:対人関係と行動傾向を可視化し、組織内のコミュニケーションを促進
  • ProfileXT®:職務適性を測定し、採用・配置・育成の精度を高める統合型アセスメント
  • CheckPoint 360°™:リーダーの現状と課題を多面的に捉える360度フィードバックツール
  • Organizational Alignment Survey:組織の一体感・方向性の共有度合いを測定するサーベイ

またHRDでは、Wiley社からの最新の調査レポートやグローバル動向を継続的にキャッチアップし、日本のビジネス現場に向けて発信・解説する取り組みも行っています。アセスメントの活用にとどまらず、人的資本経営・組織開発の最前線を共有し続けることが、私たちの使命の一つです。

※日本語版以外のご提供も当社にて可能です。詳しくはお問い合わせください。
※当社はWiley社より「2024 Platinum Award Winner」を獲得しています。本アワードは、全世界のパートナー企業のうち上位1%のみに贈られる名誉ある賞です。

We are proud to have received the “2024 Platinum Award” from Wiley. This prestigious honor is awarded to only the top 1% of Wiley’s partner organizations worldwide.


※本記事の著作権は米国Wiley社が保有しています。
※記事の内容、画像、図表などの無断転載・無断使用を固く禁じます。引用される場合は、出典を明記の上、適切な範囲でご使用ください。

Copyright Notice
※This article is copyrighted by John Wiley & Sons, Inc.
※Unauthorized reproduction, use, or redistribution of any part of this article—including text, images, or diagrams—is strictly prohibited. When quoting, please clearly indicate the source and ensure usage is within appropriate and fair limits.

2025年01月27日

記事をシェアする

Everything DiSC®紹介資料

本資料では、Everything DiSC®がもたらす体験や対人関係についての尺度、組織カルチャーの共通言語となる特徴についてご説明し、併せて学術的背景、DiSC®理論概要、レポート詳細、活用事例などをご紹介しています。

資料をダウンロード

企業研修、コンサルティング、
人材アセスメントの
ご依頼・お問い合わせはこちら

ご依頼・お問い合わせ 03-6777-7636

営業時間 平日 9:00 - 18:00

サービス事例や業務に役立つ資料を
ご用意しております

資料をダウンロード