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「インクルージョン」が組織の未来を拓く:いま、職場に必要とされる“包括性”の視点とは

原文:The Vital Role of Inclusion in the Workplace: Top Insights from Organizations Today

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「インクルージョン」は“理念”ではなく“戦略”へ。
急速に変化するビジネス環境のなか、働く人々の価値観も多様化しています。いま求められているのは、誰もが尊重され、安心して力を発揮できる職場づくり――すなわち「インクルーシブな組織文化」です。Wiley Workplace Intelligenceが2,000人超の働く人を対象に行った最新調査からは、インクルージョンが現場にもたらす実感、そして浮き彫りになるリーダー層の課題が見えてきました。
このレポートでは、多様性を成果に変えるために企業が今できることを、具体的なデータとともにご紹介します。

従業員2,000人超の声から見えた「いまの職場のインクルージョン」

ここ数年、企業を取り巻く環境は急速に変化しています。働き方の見直し、組織目標の再定義、多様化する人材の価値観への対応——企業はこれまで以上のスピードで学び、成長し続けなければ競争力を保つことが難しい時代に突入しました。

こうした変化の中で、今あらためて注目を集めているのが「インクルージョン(包括性)」です。インクルージョンとは、人種、性別、年齢、宗教、性的指向、障がい、学歴、神経多様性などに関わらず、すべての従業員が尊重され、大切にされ、支援されていると感じられる環境をつくることを意味します。

インクルーシブな職場は、多様性を受け入れるだけでなく、誰もが平等にチャンスとリソースにアクセスでき、意見が尊重される文化を育てます。これは、イノベーションや創造性を促し、組織の成果そのものを押し上げる原動力となります。

Wiley Workplace Intelligenceは、インクルーシブな組織の特徴をもとに、従業員2,001名(主に現場担当者やマネジャー)を対象に調査を実施。そこから見えてきた現状と課題をご紹介します。

6割以上が「配慮を求めやすい職場」と回答

回答者の3人に2人(約66%)が、「職場で配慮(アコモデーション)を求めることに心理的な安心を感じている」と答えました。

コロナ禍以降のリモートワーク拡大は、多様なニーズへの理解を広げ、配慮に関する会話を職場で日常化させました。たとえば、在宅勤務は、身体的・精神的な制約や神経多様性のある方にとって働きやすい選択肢となっています。

もちろん、インクルージョンは柔軟な勤務形態だけではありません。たとえば以下のような工夫も有効です。

  • 静かな空間や感覚過敏に配慮した執務環境(静かな場所のデスク配置やスタンディングデスクなど)
  • 明確で分かりやすいコミュニケーション
  • メンタリングやコーチングの機会
  • 音声読み上げや議事録作成ボットなどの支援技術の導入

87%が「自分の意見が尊重されている」と実感

職場で多様な意見が受け入れられ、活かされていると感じている人は87%にのぼりました。これは、組織にとって非常に前向きな兆しです。

多様な視点が組織にもたらすものは、単なる“意見の幅”ではありません。問題解決の柔軟性、意思決定の質の向上、そしてイノベーションの促進につながります。従業員のエンゲージメントや帰属意識も高まります。

「リーダー層の多様性が不十分」と考える人が約半数

一方で課題も浮き彫りになりました。「自社のリーダー層は、従業員全体と同じくらい多様である」と答えた人は54%にとどまり、約半数が“リーダーシップ層に多様性が足りない”と感じていることが明らかになりました。

これは、組織にとって重要な警鐘です。なぜなら、リーダー層の多様性が欠如すると、以下のようなリスクが生じるからです。

  • 社員の声や経験への理解が不足し、無意識のバイアスが生まれやすい
  • 自分と似た属性の人しか上に行けないという「見えない壁」を感じ、モチベーションや信頼が損なわれる

制度と文化の両輪でインクルージョンを推進

本調査では、組織全体として「インクルーシブな文化や制度が整っている」と感じている人も多数を占めました。

自社にはインクルーシブな職場環境がある
自社には多様性を促進する方針がある
自社には多様性を推進する取り組みがある

これは心強い結果です。一方で、インクルージョンは“導入して終わり”ではなく、進化し続けるものでもあります。組織がこの取り組みを優先し続けることは、心理的安全性と信頼関係を土台とした職場づくりに直結します。

まずは「知ること」から始める

インクルーシブな文化を育てるのは、制度だけではありません。私たち一人ひとりが、共に働く人をよく「知ること」も大切な一歩です。

例えば、仕事の進め方、性格傾向、強みや困りごとを理解し合うこと。それは、すれ違いや孤立を防ぎ、互いの力を引き出し合える関係づくりにつながります。

多様性を尊重し、「違い」を力に変える組織だけが、変化の激しい時代を乗り越えていくことができるのです。

原文:The Vital Role of Inclusion in the Workplace: Top Insights from Organizations Today
出典:WILEY Workplace Intelligence|Everything DiSC®(2025年5月23日公開)

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2024年06月18日

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