
対人関係から人間らしさを排除する
なぜAI はソフトスキルに代われないのか
原文:Taking the Person Out of Interpersonal: Why AI Can Never Replace Soft Skills
AIチャットボット、会議の自動要約、バーチャルアシスタント──。
テクノロジーがますます浸透する今、職場における「人間らしさ」はどこへ向かうのでしょうか。
Wiley社が2,000人超の調査を通じて明らかにしたのは、「AIでは代替できないスキル」が依然として職場の本質を支えているという事実。
本記事では、ソフトスキルの価値がかつてなく高まる現代において、コミュニケーション・リーダーシップ・適応力といった“人間だけが持つ力”が、なぜこれほど重要なのかを紐解きます。
Everything DiSC®をはじめとする対人理解ツールが、AI時代の中でなお組織に求められる理由が、ここにあります。
人工知能(AI)はますます避けられなくなってきています。誰もが目にするチャットボットであれ、ビデオ通話での自動議事録機能であれ、管理業務で活用できるAI バーチャル・アシスタントであれ、多くの人にとってAI は、あえて言えば、日常生活のより自然な一部となりつつあります。
しかし、チームメンバーが言った(そしてボットが聞き逃した)、一見どうでもいいような、でもアイデアのきっかけとなった一言を思い出したい場合や、最近のプロジェクトについて同僚と感情的な会話をする必要がある場合はどうなるのだろうか?このますますテクノロジー化が進む世界で、チャットボットは、職場におけるソフトスキルの人間的なやりとりに取って代わるのだろうか?そして、私たちはそれをどう感じているのだろうか?
AIのユビキタス化(どこでも利用できる技術)が進む中、Wiley社は、人々が日常生活でAIをコミュニケーションにどのように利用しているかを調査しました。AIが登場して以来、多くのAI支援ツールが出現しており、人々がこれらの技術を使ってコミュニケーションをより楽にしているかどうかを知りたかったのです。
調査結果では、回答者の78%が同僚とのつながりを感じていると答えました。これは、テクノロジーが進化しても人間関係が職場体験の重要な部分であり続けていることを示しています。テクノロジーはコミュニケーションや共同作業を容易にしますが、人間同士の交流や友情が生む親密さを完全に置き換えることはできません。
ソフトスキルに関してAIは人間に取って代わらない
私たちは2,014人を対象にアンケートを実施しましたが、その結果はほぼ一致していました。アンケート回答者の80%が、AIの進化に伴い、ソフトスキルがこれまで以上に重要になると回答しています。AIはある分野では大いに役立つが、ボットでは人間同士の直感的なつながりに取って代わることはできないということを、調査対象者ははっきりとメッセージとして送っています。

80 %が、ソフトスキルはAIの進化よりも重要と回答した
あなたの同僚が家族の看病をしていて、職場で特別な配慮が必要かもしれないことも、あなたの上司が3人分の仕事をしていることも、あなたの直属の部下が通常の仕事量に加えて新しいスキルを学んでいることも、ボットにはわかりません。
一緒に働く人たちのことを知り、真に理解する時間を取ることは、有意義なつながりや生産的な職場を作る上で大いに役立ちます。私たち一人ひとりが仕事にもたらす個性こそが、強いチームや良い文化を生み出すのです。
未来の仕事のためのスキルビルディング
テクノロジーがますます発達する中で、仕事の将来を見据えた場合、職場で必要とされるスキルのトップは「コミュニケーション」と「リーダーシップ」であり、次いで「適応力」であると回答しています。
最も重要なスキルトップ3

コミュニケーションとリーダーシップは、どんなボットでも代替できないスキルとして際立っています。真に効果的なコミュニケーションは、組織が繁栄するか、それとも新たな世界の中での生き残りに四苦八苦するかの分かれ目となります。ビジョンの明確化、問題解決、チームの葛藤の解決、適応力、ポジティブな文化の創造など、真に成功するためには人間的な要素が必要なスキルばかりです。
対立は、対面で解決するのがベスト
私たちの調査によると、コンフリクト・マネジメントのような仕事における厄介な場面においてAIに取って代わられることはありません。職場での困難な状況について、チャットボットにメールを作成させるのは簡単ですが、84%の人々は、対人関係におけるトラブルに対しては対面で対応することで、人々を優先し、職場文化に良い影響を与える真の変化を効果的にナビゲートできると考えています。

84%が、対立の際の話し合いは対面で行うことを好むと回答した
結局のところ、人間は複雑であり、困難な状況に対する反応は、人間的なものなのです。そして、個人的なレベルでつながり、コミュニケーションをとり、対立を解決するために時間をかけることは、大きな違いを生む可能性を秘めています。
とはいえ、AIを戦略的に活用して仕事の一部(事務作業など)を自動化することは、有益で効率的であり、真の人間的な繋がりによって成長できる仕事や生活のためのスペースを生み出すことができるのです。
ソフトスキルの習得が得意な人もいれば、そうでない人もいます。EverythingDiSC®のようなソリューションを活用することで、自分自身と他者を知り、どんなボットでも代用できないスキルを身につけ、私たちを特別な存在にしている人間性を保ちながら、現代の力を活用する組織を作ることができます。そして、人間性とは、私たちがもう少し必要としているものだということに、誰もが同意できるのではないでしょうか。
原文:Taking the Person Out of Interpersonal: Why AI Can Never Replace Soft Skills
出典:WILEY Workplace Intelligence|Everything DiSC®(2024年4月24日公開)
◆WILEY Workplace Intelligence 翻訳記事一覧はこちら
HRDとWiley社のパートナーシップについて
HRDは、米国Wiley社と日本国内における独占販売契約を締結しており、同社が提供する各種アセスメントの日本語版開発および総販売代理権を保有しています。
現在、日本では主に以下の4つのアセスメントを提供しております:
- Everything DiSC®:対人関係と行動傾向を可視化し、組織内のコミュニケーションを促進
- ProfileXT®:職務適性を測定し、採用・配置・育成の精度を高める統合型アセスメント
- CheckPoint 360°™:リーダーの現状と課題を多面的に捉える360度フィードバックツール
- Organizational Alignment Survey:組織の一体感・方向性の共有度合いを測定するサーベイ
またHRDでは、Wiley社からの最新の調査レポートやグローバル動向を継続的にキャッチアップし、日本のビジネス現場に向けて発信・解説する取り組みも行っています。アセスメントの活用にとどまらず、人的資本経営・組織開発の最前線を共有し続けることが、私たちの使命の一つです。
※日本語版以外のご提供も当社にて可能です。詳しくはお問い合わせください。
※当社はWiley社より「2024 Platinum Award Winner」を獲得しています。本アワードは、全世界のパートナー企業のうち上位1%のみに贈られる名誉ある賞です。
We are proud to have received the “2024 Platinum Award” from Wiley. This prestigious honor is awarded to only the top 1% of Wiley’s partner organizations worldwide.
※本記事の著作権は米国Wiley社が保有しています。
※記事の内容、画像、図表などの無断転載・無断使用を固く禁じます。引用される場合は、出典を明記の上、適切な範囲でご使用ください。
Copyright Notice
※This article is copyrighted by John Wiley & Sons, Inc.
※Unauthorized reproduction, use, or redistribution of any part of this article—including text, images, or diagrams—is strictly prohibited. When quoting, please clearly indicate the source and ensure usage is within appropriate and fair limits.
2024年04月24日

Everything DiSC®紹介資料
本資料では、Everything DiSC®がもたらす体験や対人関係についての尺度、組織カルチャーの共通言語となる特徴についてご説明し、併せて学術的背景、DiSC®理論概要、レポート詳細、活用事例などをご紹介しています。
資料をダウンロード