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アセスメントのこれまでと現在
ー半世紀に亘るロングセラーの秘密に迫るー

【前編】アセスメントのこれまでと現在ー半世紀に亘るロングセラーの秘密に迫るー

Barry Davis 氏 × 韮原光雄 対談

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対談者のご紹介

Barry Davis
Wiley社 取締役副社長 兼 執行役員

Barry Davis氏はWiley社の学術、職場学習(WLS)、クロスナレッジ部門タレントソリューションを統括する副社長・ゼネラルマネジャー。
WLS部門はEverything DiSC®、PXT Select™、The Five Behaviors®などの代表的アセスメントプロダクトを持つ。
Wiley社は2012年にInscape Publishing社、その後Profiles International社を買収。以来、アセスメント事業に連携するパートナー、顧客、学習者の強固なバリューチェーンづくりに尽力している。

韮原 光雄
HRDグループ 代表

山口県出身。大学卒業後、渡米。
コロラド州デンバーに5年在住。帰国後、米系人材開発コンサルティング会社でセールスコンサルタント、ゼネラルマネジャーを歴任後、起業。
DiSC®アセスメントを1991年に国内に導入。HRD株式会社、株式会社HRDコンサルティング、プロファイルズ株式会社を設立。

Barry Davis 氏 × 韮原光雄 対談
“Changing Assessment role and Future expectations”

AIやRPAに代表されるようなテクノロジーが益々身近なものとなり、今、そしてこれから私たちが経験する時代にとても大きなパラダイムシフトが起こることは、誰の目から見ても明らかなものとなっています。
人ではなく機械が行う仕事が増え、“人”の立場について迷う時がくることも予想されるでしょう。
長きに亘り個々のタレントやスキルと向き合い、人々、そして多くの組織に成長のヒントを与え続けているアセスメントツールのベンダーは、このような変化の時代をどのように捉えているのでしょうか。

今回は、1807年に創業し、以来教育、科学、医療などの分野で世界的に学術出版をして来た米国Wiley社の上級執行役員であるBarry Davis氏と、そのWiley社のアセスメントツール「DiSC®」の日本版製品を30年前から扱うHRDグループ代表韮原光雄の両専門家による対談から、アセスメントのこれまでと今を知るとともに、お二人が考えるこれからの可能性について探っていきます。

まるで魔法のようなDiSC®、50年以上成長を続ける理由

韮原(以下N): 私たちも長く取り扱っている「DiSC®」ですが、いったいなぜ半世紀もの長い期間、世界中の組織で広く利用され、今なお需要を伸ばし続けているのでしょうか?Wiley社としての考えというのはありますか。

Barry Davis氏(以下D): ええ、その質問に対しての最もシンプルな答えは、「DiSC®は機能する」ということです。つまり、単純に効果があるからです。誰にでも使えて、誰もがポジティブな体験を得ることが出来る。これはまさにエレガントな体験といえることだと考えています。人を笑顔にし、否応なく自分について深く考えさせる。そんなソリューションなのです。

N: DiSC®は少し気味が悪いくらい自分自身を言い当ててくる、「行動の鏡」なんて言われることもありますね。

D: ええ。学習者が何も言わなくても、その人以上にその人自身について表現しているのがDiSC®なのです。DiSC®での学習プロセスで受け取るのは自分自身のプロファイルですが、自分自身のことなのにとても驚くと思います。自分自身に関して15分くらいで回答した結果得られるプロファイルが、自分の思う以上に自分を正確に描写しているという不思議な体験が得られるのです。そしてその内容に、きっと惹きつけられずにはいられないと思います。それは否応なく学習者の視野を広げさせて、これまで考えたこともなかったことについて熟考させるのです。自分自身について、知っていてもあえて考えなかったことを。これはもはや魔法に近い感覚ですね。

DiSC®の進化ーより正確な測定で直感に訴えかけるEverything DiSC®

N: 日本では約2年前にリリースされたEverything DiSC®ワークプレイスについてもお伺いします。
以前はグラフだったものが、円環で表示されるようになり、より使いやすく、魅力的になりましたね。

D: ええ、実はこれは3度もの大幅なアップデートをした結果なのです。
DiSC®を使ってすることはまず自己洞察ですが、その洞察をどうやってシンプルに、かつ魅力的なものにできるかを設計者である自分たちに問いかけ続けました。
何度も破壊してはやり直す、その繰り返しによる刷新ですね。

N: そうですね、円環モデルの日本語版開発も製品の確証性を高めるための調査を、パートナーの協力を得ながら何度も繰り返してきました。実際に国内でも、こちらは以前のDiSC Classic®よりもより速く需要を伸ばしていますよ。

D: そうですね。Everything DiSC®は以前のDiSC Classic®よりもさらにシンプルで、コンテンツはより強い魅力を持つものになっています。Everything DiSC®を使用することで、学習者はより洞察に満ち、より深いところに到達し、はるかに具体的な結果を得ることが出来るのです。
そして、さらに重要なのが、得られたプロファイルからの実際的な応用です。今回リリースされたEverything DiSC®マネジメントでは、DiSC®の行動モデルを教える部分はより少なく、その代わりに、成功するために必要なスキルについて学習者自身がしっかり考えるのを促すこと。そこに、より重点を置いています。例えば対人コミュニケーションのスキル、人間関係改善のスキル、マネジメントのスキル。そしてマネジメントに付随した権限委譲や指示のスキル。Everything DiSC®はたくさんの機能を持ちますが、それらが目指すところはすべて、スキルの蓄積なのです。以前は、自分自身について考えることは学習者に任されていました。自分のDiSC®スタイルを知って、自身が他者に及ぼす影響を自分で考えるものでした。
しかしEverything DiSC®では違います。学習者がスキルについて真剣に取り組むことができるだけのパーソナライズされた情報が提供されるのです。

N: 私は日本にDiSC®を導入した当初から、DiSC®はモチベーションの理論であり自己理解もさることながら、他者への適応スキルの学習ツールだと言ってきました。今度の新しいEverything DiSC®においては、 DiSC®スタイルを知ることがゴールなのではなく、その先のスキル習得こそがゴールであるということですね。

Everything DiSC / 円環モデル

Everything DiSC® / 円環モデル

D: ええ、まさにその通りです。この発想については、私たちの社内で「DiSC®を前面に出さないこと」と言っていました。大事なのはDiSC®ではない。DiSC®モデルはたしかに興味深いけれど、大切なのは人間です。大切なのは学習であり、学習者であって、DiSC®そのものやDiSC®スタイルを知ることではないのです。大切なのはその先にあるスキルをより効果的に得て、いかに成功につなげるか、という点にあります。

N: なるほど。製品開発コンセプトの発想転換こそが、Everything DiSC®の需要が伸び続け、毎年100万人以上がオンラインで学ぶほどになるまでの成長の秘密だったのですね。

D: はい。そしてその非常に多くの方たちが、皆それぞれにパーソナルな体験をしているのです。

世界中に拡がるパートナーネットワークの価値

N: 次に言及しておきたいのが、Wiley社のビジネスの仕方についてです。私たちHRDグループもそうですが、DiSC®は基本的にビジネスパートナーへのディストリビューションを行い、それを重要な販売チャネルとしていますね。
事実、私たちも日本で長年このビジネスを続けてきましたが、パートナーをとても重要視しています。彼らの成功のために私たちにできることは何か、常に尋ね、パートナーの本当のニーズ、現状、そして私たちにしてほしいことを聞くのです。これにより、とても良好で強い絆を長年にわたって築いていると考えています。
パートナーを世界各地に持ち、それを販売チャネルとして重要視するという、このような形は私たちの大きな特徴ですね。

D: そうですね、私たちはパートナーをとても大事に思っています。なぜなら、パートナーはクライアントにとって直接的なアドバイザーであり、長期的な信頼関係を築いているからです。その深い関係性を私たちが世界中で実現し、自分たちによる直販のスタイルを作るというのは非常に難しいことですが、パートナーがいれば何万人という対象者にでも、付加価値のあるソリューション提供ができるわけです。
ですから私たちとしては、「パートナーに価値を提供すること」にフォーカスし、そのパートナーがクライアントに価値を提供する、そして最終的には学習者にその価値が届くといったようなバリューチェーンを構築しています。

N: ええ、そうですね。また同様に、私たちからWiley社へも、日本の動向を踏まえて多くのマーケットニーズをリクエストさせていただいています。こうして私たちは様々な方向に力を持ったバリューチェーン、つまり相互に結びついた共同体的な環境を築けているといえますね。

D: ええ、その通りです。

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【後編】アセスメントの進化ー世界、そして日本を先端技術と教育によって前進させるー

2020年06月18日

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