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The Great Pile-On(仕事の山積み):拡大する業務と停滞するキャリア

原文:The Great Pile-On: When Workloads Rise and Career Growth Stalls

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2025年、多くの組織が予算制約や人員削減、急速な環境変化への対応を迫られました。その過程で進行しているのは、大規模な再編や正式な変革プロジェクトではなく、日々の業務の再配分という形で生じる、より静かな変化です。

失われた人員の役割は再定義され、既存メンバーへと段階的に移管されています。リーダーは限られた移行期間のなかで新たな成果を求め、マネジャーは優先順位の再整理、人材育成、業務量の持続可能性の判断を迫られながら、同時に成果・エンゲージメント・定着にも責任を負い続けています。

不確実性が常態化する環境において、リーダーシップとは安定した体制を維持することではなく、期待値・スキル・支援を継続的に調整し続ける営みへと変化しています。

こうして責任のみが拡大する一方で、多くの業界では昇進や報酬改定は限定的です。役職や給与が変わらないまま、求められる役割と能力要件だけが拡張していく。この現象を、私たちは「The Great Pile-On」と呼んでいます。

Wiley Workplace Intelligenceは2,503名を対象に調査を実施し、この変化の実態と、責任とリソースのバランスが崩れる状況下で組織が取るべき対応を分析しました。

交わされていない対話

回答者の31%が、最近職務範囲の拡大を経験したと回答しています。その半数以上は、組織再編やレイオフを契機として役割が拡張しています。

注目すべきはその継続期間です。拡張された役割は一時的なストレッチ課題ではなく、60%以上が6か月以上にわたり追加業務を担っています。これは移行期の暫定対応ではなく、新たな常態として定着していることを示唆します。

31%が最近、職務範囲の拡大を経験したと回答

役割を引き受ける際、従業員には暗黙の期待が存在します。努力や責任の拡大が、将来的に何らかの形で評価や成長機会につながるという期待です。

しかし、追加責任が昇進に結びつく可能性について説明を受けたのは、5人に1人にとどまりました。具体的な時期や明確な見通しが示されたケースはさらに少数です。多くは曖昧な説明、あるいは説明そのものがなされていませんでした。

この不透明さは重要です。即時の昇進が問題なのではなく、期待と現実の関係性が共有されていない点が課題です。対話が不足すると、自身の成長機会なのか、単なる負荷の吸収なのかの判断が困難になります。

拡張された役割が昇進につながると説明を受けたのは5人に1人のみ

この曖昧さは重要です。従業員が即時の昇進を期待しているからではありません。沈黙は“空白”を生むからです。明確な説明がなければ、人は自らの能力開発が進んでいるのか、それとも組織全体の負荷増大を引き受けているに過ぎないのかを判断できなくなります。

当初は前向きに応じる、在籍年数の長い従業員層

回答者の約80%は現組織に2年以上在籍し、半数は5年以上の経験を有しています。組織理解が深く、高いコミットメントと責任感を持つ層です。

追加役割の要請に対し、多くは前向きに応じています。初期段階ではエンゲージメントや生産性が向上し、士気も維持される傾向が見られました。

表面的には、「The Great Pile-On」は機能しているように見えます。しかし、この状態が持続するとは限りません。

The Great Pile-Onがもたらす代償

数週間が数か月へと移るなかで、負荷は徐々に顕在化します。一時的と認識されていた役割が恒常化し、時間的余力は縮小し、求められるスキル要件は拡大します。

当初は組織を支える機会であった役割拡張が、持続可能性の課題へと転じる局面が生じます。この段階で、多くの従業員が自身の時間と労力の位置づけを再考し始めます。

31%が追加の職務に対するトレーニングを受けていないと回答

また、拡張された役割に対してトレーニングを受けていない従業員は4分の1を超えています。不均衡な業務配分とリソース不足が常態化すると、チーム内の摩擦も増加します。

約3か月を境に、エンゲージメントの低下は2倍以上に拡大する傾向が見られました。これは急激な崩壊ではなく、士気と関与意欲が徐々に減衰していくプロセスです。

離職を検討する理由として挙げられるのは、昇進機会の不足よりも、持続不可能な業務量と支援不足です。問題は野心の欠如ではなく、構造的な疲弊にあります。

状況を左右するマネジャーの支援

役割拡張を成長機会へと転換できるか否か。その差を生んでいたのは、マネジャーによる支援でした。

まず、現状の困難さを言語化し共有すること自体が、士気の改善に寄与します。

調査では、効果的な支援として以下が挙げられました。

  • 業務量について定期的に確認する
  • 業務の進捗だけでなく、本人の状態にも関心を向ける
  • マネジャーが部下のために上層部に掛け合う
  • 優先順位の整理を支援する
  • 追加依頼を断る際に後ろ盾となる

これらを複数実践している場合、エンゲージメント低下のリスクは75%低減しました。しかし、実際にこうした支援を受けていると回答したのは3人に1人にとどまります。

マネジャーの支援があると、意欲低下のリスクが75%低下

小規模組織で相対的に良好な傾向が見られるのは、業務負荷の軽重よりも、支援の可視性と即時性に起因する可能性があります。

組織規模は変えられなくとも、役割拡張期におけるマネジャー支援の設計と育成は可能です。

データが示唆するのは明確です。多くの人は責任拡大に応じる意欲を持っています。ただし、期待と支援が均衡している場合に限られます。

マネジャーによる継続的な関与と、役割拡張が従業員のウェルビーイングに与える影響への構造的な配慮があれば、組織は不確実な環境下でも持続的なパフォーマンスを実現できるでしょう。

原文:The Great Pile-On: When Workloads Rise and Career Growth Stalls
執筆: Janelle Beck, Senior Copy Editor & Tracey Carney EdD, Research Manager
出典:WILEY Workplace Intelligence|Everything DiSC®(2026年2月20日公開)

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2026年02月24日

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