HR・L&Dリーダーが予測する、2026年の5つの主要課題
原文:HR and L&D Leaders Predict the Top 5 Challenges for 2026
2025年は、ひと言で言えば「濃密な一年」でした。
私たちの調査が一年を通して示してきたように、従業員は大きな負荷の中で働いていました。
現場の担当者から経営層、そしてその間にいるマネジャー層まで、例外はありません。
急速な変化と不安定さに加え、AI活用の加速によって未来へ踏み出す一方で、出社回帰(RTO)によってパンデミック以前の働き方へ引き戻される――2025年は、組織も個人も、あらゆる方向に揺さぶられた一年だったと言えるでしょう。
そして新たな年を迎えたいま、私たちはあらためて問い直そうとしています。
2025年の混乱を経て、これからの一年に、安定――あえて言えば、バランスや意味を見出すことはできるのでしょうか。
WILEY Workplace Intelligenceでは、主にHRおよびL&Dリーダーを中心とする1,500名を対象に、2026年に直面すると予測される5つの主要な課題について調査を実施しました。
予想通り、「変化の継続」が最も多く挙げられましたが、それだけではありません。
「変化」や「テクノロジー」というおなじみのテーマのあいだに見えてきたのは、新しい“通常”へのかすかな希望と、従業員のウェルビーイングと事業成果の両立を重視していたかつての“ケアする文化”への回帰を求める声でした。
変化は、減速していない
2026年に向けて、さらに変化が増えると予測した回答者が66%にのぼったことは、決して意外ではありません。
2026年1月1日を迎えたからといって、企業を取り巻く課題が実質的に変わるわけではない――新しい「通常(ニューノーマル)」に適応し続ける中で、人々が直面している現実は、そのまま続いています。
すでに実感している方も多いでしょう。あらゆる変化が同時進行するこの時代は、これまでとは明らかに異なります。
今後もしばらくは、リーダーが常に緊張感を保ちながら、不安定な環境の中で成長を模索し続ける状況が続くと考えられます。
一方で、調査からは興味深い傾向も見えてきました。
多くの人が、自社の「変化への適応力」には十分な自信を持てていない一方で、その会社で働く自分自身の将来については、前向きな見通しを持っているのです。

2026年に、さらなる変化を予測している人は66%
この矛盾をはらんだ状態は、リーダーにとって大きな機会でもあります。
透明性と信頼を土台に、意思決定のプロセスへ人を巻き込み、この前向きなエネルギーを組織の推進力へと変えていくことが、今まさに求められているのです。
組織文化の危機
2025年の困難を経験した人であれば、同時に組織文化が大きな打撃を受けていたことにも気づいていたはずです。
パンデミック初期の「人を最優先するリーダーシップ」――(ペットや子どもがオンライン会議の画面に映ることが、当たり前で、どこか微笑ましかった頃を覚えているでしょうか)――そこから一転し、2025年は出社回帰(RTO)、採用凍結、組織再編が常態化した一年でした。
この新しい局面の中で、人々は再び通勤ラッシュに向き合い、多くの人が、十分なリスキリングを受けられないまま複数の役割や仕事を抱え、「本当の意味でうまくやれている」と感じられない状況に置かれています。
さらに、厳しい予算制約のもと、多くの組織が学習・能力開発(L&D)への投資を後回しにした結果、従業員はこの新しい環境でリードし、つながり、学び続けるための道具を持てないままになっていました。

2026年に向けた最大の課題として「組織文化の改善」を挙げた人は30%
外部環境の変化により、リーダーの多くは「本心では不評になると分かっていた判断」を下さざるを得ませんでした。
そうした判断が積み重なった結果、従業員は過去に例のない深刻なストレス水準を報告するようになっています。
だからこそ、2026年はひとつの仕切り直しの年でもあります。
リーダーは、自組織の文化が今どの位置にあるのかを見つめ直し、成果を追求し続けながらも、支えられている従業員のほうが、結果的に高いパフォーマンスを発揮するという事実をあらためて踏まえ、バランスを取り戻していくことが求められています。
リーダーにとって最重要スキルであるにもかかわらず、コミュニケーションは依然として不足している
多くの人が、リーダーからもっとコミュニケーションを求めている。
これは2025年を通じて一貫して見られたテーマであり、新しい年を迎え、リーダーが2026年に向けて事業を次のステージへ進めようとする今、その重要性はいっそう高まっています。

リーダーシップにおいて最も重要なスキルとして「コミュニケーション」を挙げた人は64%
変化を受け止めることが難しくなる大きな要因のひとつが、透明性の欠如です。
とりわけ、何の説明も予兆もないまま、物事が次々に起きていると感じるとき、人は強い不安や負荷を感じます。
戦略の転換、働き方の変更、組織再編などの変化が、「一緒に進めるもの」ではなく「一方的に起きるもの」として受け取られると、組織文化は大きなダメージを受けます。
透明性をもって伝えることは、「あなたを大切に思っている」「信頼している」「気にかけている」というメッセージそのものになります。それは、これからの一年を進んでいくうえで、組織の士気を大きく支える力になります。
もし、財務的な不安定さから今後6か月の明確なビジョンを描ききれていない場合や、波紋を呼びそうな大きな施策を検討している最中であれば、そうであることを率直に伝えてください。
次の成長を後押しするアイデアは、すでに社内の誰かが持っているかもしれません。
何も語らなければ、あなたは人材だけでなく、意欲やエネルギーまでも失ってしまうリスクがあるのです。
テクノロジー教育は最優先課題になっている
2025年の多くは、新しいテクノロジーをどう活用するのが最善かを模索することに費やされました。
一方で、2026年は、教えること・育てること・活かすことに本腰を入れる年になりそうです。
調査では、回答者の35%が「テクノロジーを学ぶこと」を最優先課題として挙げました。
AIが業務を効率化し、価値を高めるという期待が語られる一方で、それが混乱や戸惑いを生んでいる場面も数多く見られます。

35%が、テクノロジー学習を2026年の主要課題と回答
だからこそ重要なのは、
- どのように使ってほしいのかを明確にすること
- その使い方を、きちんと学べる環境を整えること
そうすることで、ノイズに振り回されることなく、テクノロジーから実際の成果を引き出せるようになります。
最新のテクノロジーを戦略的に活用しながらも、同時に人間らしさを失わないこと。それこそが、あらゆるビジネスの核心であり、成功の鍵なのです。
このデータが示すことも非常に明確でした。週次のチェックインや短時間の振り返り(デブリーフ)を取り入れているチームほど、強い支援を感じていたのです。
頻繁にインフォーマルなフィードバックを受けている従業員の92%が、「上司は自分を支えてくれている」と感じていました。一方、評価が年1回または半年に1回のみの従業員では、その割合は59%にとどまりました。
従業員の声から見えてきたのは、継続的な接点が心理的安全性を生み、期待値を明確にし、問題を「対処可能なもの」と感じさせていたということです。
不確実性に満ちた一年において、定期的なフィードバックは単にパフォーマンスを高めただけではありません。人を地に足のついた状態に保つ役割を果たしていました。
進むべき方向は明らかです。
小さな対話の積み重ねが、大きな安定を生み出します。
すでにある「前向きさ」は、エンゲージメント向上につなげられる
やや意外なことに、困難の多かった一年を経ても、回答者の73%が自社の将来に対して前向きな見通しを持っていると答えました。
これは、新しい年のスタートを「白紙の状態」と捉え、人への投資を通じて、次の一年に向けた力を蓄えようとするリーダーにとって、非常に心強い兆しだと言えるでしょう。
一方で、回答者の30%は、エンゲージメントを2026年の主要課題として挙げています。
つまり、将来への希望はあるものの、日々の仕事への関与や没頭感には不安が残っている――そんな、相反する状態が同時に存在しているのです。
今年は、この「すでにある前向きさ」をどう活かし、行動へと転換していけるかが、極めて重要な一年になります。従業員との再接続(リエンゲージメント)を図り、希望を具体的な動きへと変えていくことが求められています。

対立を乗り越えたチームの68%が、より良い成果を生み出している
もし2025年が私たちに何かを教えてくれたとするなら、それは「唯一変わらないものは、変化そのものだ」という事実でしょう。
新しい年もまた、課題と成功の両方に満ちたものになるはずです。
その中で、人への投資と、事業成果への投資を両立させることこそが、長期的に組織が前進し続けるための、最も確実な道なのです。
原文:HR and L&D Leaders Predict the Top 5 Challenges for 2026
執筆: Janelle Beck, Senior Copy Editor & Tracey Carney EdD, Research Manager
出典:WILEY Workplace Intelligence|Everything DiSC®(2026年1月23日公開)
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HRDとWiley社のパートナーシップについて
HRDは、米国Wiley社と日本国内における独占販売契約を締結しており、同社が提供する各種アセスメントの日本語版開発および総販売代理権を保有しています。
現在、日本では主に以下の4つのアセスメントを提供しております:
- Everything DiSC®:対人関係と行動傾向を可視化し、組織内のコミュニケーションを促進
- ProfileXT®:職務適性を測定し、採用・配置・育成の精度を高める統合型アセスメント
- CheckPoint 360°™:リーダーの現状と課題を多面的に捉える360度フィードバックツール
- Organizational Alignment Survey:組織の一体感・方向性の共有度合いを測定するサーベイ
またHRDでは、Wiley社からの最新の調査レポートやグローバル動向を継続的にキャッチアップし、日本のビジネス現場に向けて発信・解説する取り組みも行っています。アセスメントの活用にとどまらず、人的資本経営・組織開発の最前線を共有し続けることが、私たちの使命の一つです。
※日本語版以外のご提供も当社にて可能です。詳しくはお問い合わせください。
※当社はWiley社より「2025 Platinum Award Winner」を獲得しています。本アワードは、全世界のパートナー企業のうち上位1%のみに贈られる名誉ある賞です。
We are proud to have received the “2025 Platinum Award” from Wiley. This prestigious honor is awarded to only the top 1% of Wiley’s partner organizations worldwide.
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2026年02月03日
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