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新しい日本型雇用モデルの創出に向けた働き方改革と人づくり革命


経済産業省産業人材政策室参事官 伊藤禎則氏

プロフィール●1994年東京大学法学部卒、通産省入省。コロンビア大学ロースクール修士、米国NY州弁護士登録。日米通商摩擦交渉、エネルギー政策、筑波大学客員教授、大臣秘書官等を経て、2015年より現職。経産省の人材政策の責任者。政府「働き方改革実行計画」の策定に関わる。「経営リーダー人材育成指針」策定、ITスキル認定制度の創設等も手がける。

第4次産業革命の時代を迎えて

今、わが国は2つの重要な課題に直面しています。1つが人口の急激な減少であり、人口に占める高齢者の割合の増加です。それに伴って15歳から65歳未満の生産年齢人口は、2060年には現在の半分になると予想され、日本経済を現在の半数で支えなければならなくなります。2060年までいかなくても足下であらゆる産業において人手不足が深刻になるでしょう。
2つ目が「第4次産業革命」の波が押し寄せていること。いま話題のIoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットなど、技術のブレークスルーが、これまでの社会の姿を大きく変えるものと考えられます。
特にAIは、深層学習(ディープラーニング)によって、革命的な進歩を遂げています。こうしたAI技術は、自動車、医療、バイオ、エネルギーなどさまざまな産業分野に導入され、産業構造や就業構造に劇的な変化をもたらす可能性があります。
多くの人が関心を寄せているのが「AIが人間の雇用を奪うのではないか」ということです。しかし、実際に起きることは「AI vs 人間」ではなく「AIを活用できる人材 vs AIを活用できない人材」です。AIを利用して付加価値を高める側に回ることが大切であり、そのカギになるのは「人材投資と人材教育」です。

多様な働き方を実現できる制度をつくりたい

そしていま、職務範囲が無限定、長時間労働、男性中心、年功序列、終身雇用、OJTなどの「日本型雇用システム」が大きく変わろうとしています。実際、高齢社会の介護問題など直面する課題は多く、高齢者や女性など働き手を多様化して長時間労働を是正しなければなりません。さらに、企業内の人材流動性を妨げている年功序列や終身雇用を改革し、企業内での成長分野への労働力移動を促進する必要があります。
人材教育においても、従来のOJT依存ではIoT時代のスキルを身につけることはできません。人材育成、人材投資を強化して、働く人のエンゲージメントやモチベーションを向上させることが必要です。

「人生100年時代」にあって、年代や家庭環境などそれぞれの事情によってテレワーク、フリーランス、副業、兼業といった柔軟な働き方が求められるようになりました。しかし、いまの日本の制度はこうしたニーズに対応できていません。政府では「働き方改革実現会議」そして「人生100年時代構想会議」を開催し、制度の総点検を行っています。
定年を迎えてからもすぐにリタイアするのではなく、新しい知識を学びながら仕事やボランティアに生きがいを見出す、あるいは、育児をしながらフリーランスや在宅勤務などの働き方を選択する、そんな多様な働き方を実現するための改革案を策定しているところです。

データを駆使して人事機能の向上を図る

こうした時代にあって、人材戦略は経営戦略そのものであり、「人財」という資産の投資効果を高めることが必要になっています。人事は本来、個々人を活かす個別最適が理想ですが、実際にこれを実行するためには、膨大なデータ処理が必要で多くの企業はできていないのが現状です。しかし、AIを使えばこうしたたくさんの人事課題をテクノロジーによって解決することが可能になります。
データを活用して採用、人事、育成、配置、評価、リテンションを、勘や経験だけでなく合理的、科学的に提案し、人事機能の向上を実現することができます。 「人生100年時代のスキルアップデート」という観点から、人事のプロの皆様と共に一歩一歩推進し、日本経済の発展に貢献したいと考えています。